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コモンモードチョークコイルのSPICEモデルについて

コモンモードコイルのインピーダンス特性と等価回路概要について

図1において、理想的なインピーダンス特性は、青線のように周波数に比例して増加します。
しかし実際には、コア内に発生する渦電流損失等による損失、及び巻線間容量によるインピーダンス低下などにより赤点線のようなインピーダンス特性となります。
ここで、赤点線の特性は図1にあるLo、R、Cの並列回路で表現する事が出来ますが、Loはコモンモードインダクタンス、Rは渦電流による損失を抵抗で表現し、Cは巻線間容量を表現します。
またLo、R、Cは、赤点線の特性において、Loは低周波側、Rは中間の帯域、Cは高周波側でインピーダンス特性を形成します。
ただし、Rで表現される中間の帯域は、実際には周波数依存性があり、抵抗Rだけでは実測との差異が発生します。
この図1のLo、R、Cによる等価回路を従来モデルと称し、このRの表現を改善した等価回路を詳細モデルとして、以下ご説明致します。

(備考) コモンモードコイルの基礎と基本等価回路(従来モデル)の説明は、弊社FAQサイトのコモンモードチョークコイルに関する記事をご参照ください。

理想特性と実特性

図1. ナノ結晶合金を使用したコモンモードコイルの理想特性と実特性の概略グラフ

コモンモードチョークコイルSPICEモデルの特徴

コモンモードチョークコイルのSPICEモデルは、図2に示すようにインピーダンス特性における抵抗成分Rが支配的な帯域において、インピーダンス再現性を従来モデルより向上させた、詳細モデルとなっております。
図3の従来モデルのRを、図4の詳細モデルのR’のようにRとLを梯子構造(ラダー構造)とする事により、抵抗成分支配帯域のインピーダンス特性再現性を向上させております。
Rが支配的な帯域では、実際は周波数依存があり、R’はこの周波数依存性を再現する為に導入しております。

インピーダンス実測値とSPICEモデル比較

図2. コモンモードコイル従来モデルと詳細モデルの実測値に対する再現性比較

FL series model

図3. コモンモードコイル従来モデル

FL-V series model

図4. コモンモードコイル詳細モデル

上記詳細モデルを導入した経緯

弊社コモンモードコイルの抵抗成分は、周波数依存性が高く、図2の抵抗成分(R)が支配的な帯域では、従来モデルでは、インピーダンス再現性が悪くなってしまいます。
その為、弊社コモンモードコイルSPICEモデルは、図4の詳細モデルを導入し、抵抗成分支配帯域におけるインピーダンス特性の再現性を向上させております。

SPICEモデルの使用上注意事項
  • シミュレーション再現性帯域は、凡そ30MHzまでを目途とします。
  • 本SPICEモデルは、OrCAD 9.2Lite Edition及びOrCAD Capture CIS-Lite version 17.2で動作検証済みです。
  • 図2は縦置き品についてのインピーダンス実測値とシミュレーションになります。
  • 本SPICEモデルは標準的な特性のサンプルから構築している為、製品個々のばらつきによっては、本SPICEモデルを使用したシミュレーションと実測値にズレが発生する事があります。
本資料の取扱い注意
  • 本資料は、製品の特性に対する参考データであり、製品の特性を保証するものではありません。
  • 採用に際しては、製品をより正しく、安全にご使用いただくために、本資料に依拠する事なく、必ず製品を実装し、試験等を行った上で決定して下さい。
  • 本資料は、改良その他の理由により予告なく追加・変更・修正を行う場合があります。
  • 本資料の使用による損害等について、日本ケミコン株式会社は一切の責任を負いませんのでご了承ください。
  • 本資料の著作権はすべて日本ケミコン株式会社にあります。
  • 本資料の再配布および転載はご遠慮ください。
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