tanδとは何か
アルミ電解コンデンサの損失角の正接(通称: tanδ、D.F.、誘電正接、タンデルタ、タンデル)は理想コンデンサに対する出力の位相差を示す特性です。
コンデンサでの損失を表す一つの指標となります。理想コンデンサでは抵抗成分が無く、損失が存在しないのでtanδはゼロになります。
コンデンサでの損失を表す一つの指標となります。理想コンデンサでは抵抗成分が無く、損失が存在しないのでtanδはゼロになります。
tanδの定義
- ω(オメガ)
- : 2πf
- f
- : カタログ規格の場合は 120 [Hz]
- π
- : 円周率(3.1415・・・)
- C
- : 静電容量 [F]
- R
- : 等価直列抵抗(ESR) [Ω]
tanδからESRを算出する方法
tanδの定義より、測定周波数と静電容量が既知であればESRを算出できることが分かります。式(1)をRについて解くと、式(2)となります。製品のtanδ規格値はマージンを多く含んでおり、実測値とは大きな乖離があります。
tanδ規格値からESRを算出することは可能ですが、算出できるESRは120Hz値のみであること、またtanδ規格値のマージンと静電容量許容差の影響により、数10%~数倍の誤差が生じる場合がありますので推奨していません。
また、他の周波数のESR値をtanδ規格値から求めることはできません。
tanδから正確なESR値を求めるには実測値のtanδ、容量値が必要かつ、測定周波数が求める条件の周波数と一致している必要がありますが、一般的にその場合は直接ESRを測定します。理論的にESRを算出することはできますが、使われることはありません。
例:
- tanδ実測値
- : 0.011
- tanδ測定周波数
- : 120 [Hz]
- 静電容量実測値
- : 97 [μF/120Hz]
- の場合、
今日におけるtanδの役割
トランスと整流回路を用いた古典的な電源においてはtanδはコンデンサの定格電圧に依存せず、120Hzでのコンデンサの損失を表現できるため、コンデンサ特性の良し悪しを表現できる便利な値でした。
しかしながら今日においてはスイッチング電源が主流となっており、数十~数百kHzで駆動させるため、120Hzで規定されているtanδは損失を表すという面において、大きな意味を持たない値となっています。
なお当社では主にスイッチング電源出力平滑用で使用されるコンデンサにおいて100kHzでのESR又はインピーダンスを規定しております。
ただし、コンデンサの寿命規定の一部としてはtanδを今でも使用しています。
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