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アルミ電解コンデンサの構造

目次
  1. アルミ電解コンデンサの基本モデル
  2. アルミ電解コンデンサの構造
  3. 構成材料の特長
1. アルミ電解コンデンサの基本モデル
アルミ電解コンデンサは、受動部品であるコンデンサの中でCV積あたりの体積が小さく、コストが他のコンデンサに比べ安いことを主な特長としています。
コンデンサの基本モデルはFig-1のように表され、コンデンサの静電容量Cは、(1)式で求められます。
コンデンサの基本モデル

Fig-1 コンデンサの基本モデル

ε: 誘電体の比誘電率
S: 対向電極の面積 (m2)
d: 電極間距離=誘電体の厚み (m)

この(1)式より、ε、Sを大きく、dを小さくすれば、Cを大きく取れることがわかります。
アルミ電解コンデンサの誘電体となる酸化皮膜(Al2O3)のεは8~10で、他のコンデンサと比べ大きな値ではありません。
しかし、電極であるアルミ箔の表面をエッチング処理することにより表面積を拡大し、また誘電体として耐電圧の高く薄い酸化皮膜を電気化学的処理により形成することができ、単位体積あたりのCV積が他のコンデンサと比べ大きくなっています。実際のアルミ電解コンデンサの基本モデルは、Fig-2のようになります。

Fig-2アルミ電解コンデンサの基本モデルと等価回路

Fig-2 アルミ電解コンデンサの基本モデルと等価回路

コンデンサの電極と誘電体は
陽極
… アルミ箔
誘電体
… 陽極アルミ箔表面に電気化学的に生成された酸化皮膜 (Al2O3)
陰極
… 真の陰極は電解液 (電解質)
となり、電解液を保持するための電解紙、陰極の引出し電極として用いるアルミ箔で一つの単位となります。

よって、通常のアルミ電解コンデンサは、構造的には非対称となり極性を持っています。対向する両電極箔に陽極アルミ箔を用いたものが両極性(無極性)の製品となります。

2. アルミ電解コンデンサの構造
アルミ電解コンデンサの素子の基本構造は、Fig-3のように陽極アルミ箔/電解紙/陰極アルミ箔/電極端子(内部端子、外部端子)を巻き込んだ物に、電解液を含浸させ、アルミケース、封口材で封止されています。
Fig-3素子の基本構造

Fig-3 素子の基本構造

アルミ電解コンデンサは、製品の形状により、端子の引出し構造や封口材、封止構造が多少異なります。代表的な事例をFig-4に示します。

CE32形(面実装形)

CE04形(リード形)

CE692形(基板自立形)

Fig-4 アルミ電解コンデンサの構造(代表的形状の例)

3. 構成材料の特長
アルミ電解コンデンサの主材料のアルミニウムは、アルミを陽極として、電解液中で電気をかけると表面に酸化皮膜(Al2O3)が生成され、この酸化皮膜が誘電体として機能するコンデンサです。酸化皮膜が形成されたアルミ箔はFig-5のように、電解液中では整流特性を持つ金属で、弁金属と言われています。
Fig-5 酸化アルミのV-I特性

Fig-5 酸化アルミのV-I特性

【陽極アルミ箔】
初めに、表面積拡大のために塩化物水溶液中で電気化学的にエッチング処理を行ないます。
次に、ホウ酸アンモニウムなどの水溶液中で定格電圧以上の電圧を印加(化成処理)し、エッチングされたアルミ箔表面に電気化学的に誘電体となる酸化皮膜(Al2O3)を形成します。この誘電体は、約1.1~1.5nm/Vの非常に薄く緻密な皮膜であり、しかも高い絶縁性(108~109Ω/m)を有しています。

酸化皮膜の厚さと耐圧は比例関係にあり、効率的な表面積拡大を図るために、定格電圧によってエッチングのピット形状を使い分けています。(Fig-6参照)

低圧用
低圧用(交流エッチング)

(交流エッチング箔の破断面)

高圧用
高圧用(直流エッチング)

(直流エッチング箔の破断面)

Fig-6 アルミエッチング箔断面の例(SEM画像)

【陰極アルミ箔】
陽極アルミ箔と同様に表面はエッチング処理が施されていますが、一般的には、誘電体形成の処理(化成処理)は行なっていません。このため、表面は自然酸化皮膜(Al2O3)だけであり、耐圧は0.5V程度です。
【電解液】
電解液はイオン伝導性の液体で、誘電体形成された箔表面に浸透し真の陰極の役割をします。陰極アルミ箔は、外部との接続のための集電電極の役目を果たしています。電解液はコンデンサの性能(温度特性、周波数特性、寿命等)を決める重要な構成材料です。
【電解紙】
電解液を均一に保持し、かつ陽極箔と陰極箔の電極間距離を保つ機能を有します。
【ケース/封口材】
気密性保持のためアルミケースと、ゴムを主な材料とした封口材で封止されています。
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