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2023年度第2四半期連結累計期間の概況

代表取締役社長 上山 典男

2023年度第2四半期連結累計期間における世界経済は、米国では比較的良好な雇用環境を背景にサービス消費等の個人消費が堅調に推移するなど景気は回復基調で推移いたしました。一方、欧州ではウクライナ情勢の長期化のもと個人消費が低迷するなど、景気は総じて低調に推移いたしました。また、中国ではゼロコロナ政策の解除により一時的に個人消費が回復したものの、その後の輸出の停滞や不動産需要の落ち込みなどにより回復ペースが鈍化いたしました。日本国内においては景気は緩やかな回復傾向で推移いたしました。

日本ケミコングループを取り巻く市場環境につきましては、自動車関連市場では自動車メーカーの半導体不足が解消されつつあることに加え、円安を背景に輸出が好調に推移し、また電装化のための部品需要が高まるなど総じて堅調に推移しました。産業機器関連市場は、インフレ対策としての各国での金利引き上げを背景とした景気の先行き不安により企業の設備投資は鈍化しました。また、ICT関連市場は、パソコンやデータセンター向けサーバーの在庫調整が続きました。

このような経営環境のもと、当社グループは第10次中期経営計画に定める諸施策を着実に実行してまいりました。

販売面では、引き続き長期的な成長が見込まれる車載市場やICT市場等に向けた高付加価値な製品の拡販に努めてまいりました。ハイブリッドコンデンサの生産能力の増強を図るため、ケミコン東日本株式会社の宮城工場において新たな製造棟の建設に着手するなど、高収益で高付加価値な製品の生産能力の増強を図ってまいりました。

製品開発では、基板自立形アルミ電解コンデンサ「KHUシリーズ」と「LHUシリーズ」にサーバー電源用途などに適した電圧範囲やサイズの製品を新たに開発し、製品ラインアップを拡充いたしました。また、大型設備等の高電圧・大電流が求められる用途に向け、電気二重層キャパシタモジュールを開発いたしました。24セルの電気二重層キャパシタを直列に接続した状態でパッケージ化して販売することで、高電圧システムの構築に係る工数削減に貢献することが期待できます。

これらの結果、2023年度第2四半期連結累計期間の連結業績につきましては、売上高は803億41百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は51億23百万円(前年同期比5.6%増)、経常利益は53億20百万円(前年同期比10.8%増)となりました。しかしながら、独占禁止法関連損失の計上などにより、親会社株主に帰属する四半期純損失は227億81百万円(前年同期親会社株主に帰属する四半期純損失5億14百万円)となりました。

なお、このような状況を踏まえ2023年度の中間配当につきましては、誠に遺憾ながら見送らせていただくことといたしました。株主の皆様には深くお詫び申し上げます。

部門別の状況

2023年度第2四半期連結累計期間における事業の部門別の状況は次のとおりであります。

  1. コンデンサ部門(756億34百万円、売上総額の94.1%)
    車載関連の需要が増加したことなどにより、当部門の売上高は前年同期比7.3%の増加となりました。
  2. 機構・その他部品部門(18億72百万円、売上総額の2.3%)
    メカ部品の需要が減少したことなどにより、当部門の売上高は前年同期比11.6%の減少となりました。
  3. コンデンサ用材料部門(21億41百万円、売上総額の2.7%)
    アルミ電解コンデンサ用電極箔の需要減少などにより、当部門の売上高は前年同期比34.5%の減少となりました。
  4. その他の部門(6億92百万円、売上総額の0.9%)
    リセール品の需要減少などにより、当部門の売上高は前年同期比41.3%の減少となりました。

通期の見通し

今後の見通しとしましては、国内ではコロナ禍からの経済活動の正常化が一段と進むことで、雇用環境の改善を背景に個人消費が底堅く推移するなど、景気は緩やかに回復すると見込まれます。一方で、世界経済全体としては、各国の金融引き締め政策の影響や泥沼化するウクライナ情勢の影響など、景気の下振れリスクは依然として存在しており、当社グループを取り巻く経営環境は予断を許さない状況が続くものと予想されます。

当社グループにおきましては、引き続きハイブリッドコンデンサを中心とする高付加価値製品の拡販や工場の生産性の向上を始めとする第10次中期経営計画に定める諸施策を着実に実行してまいります。

2023年10月1日には当社の連結子会社であるケミコン精機株式会社をケミコン東日本株式会社に吸収合併いたしました。また、同日付でケミコン長岡株式会社をケミコン山形株式会社に吸収合併し、商号をケミコンデバイス株式会社に変更いたしました。これにより関連する事業や間接部門を統合し、間接コストの低減と事業運営のスピードアップを図ってまいります。

なお、第10次中期経営計画の各種重点施策の着実な実行のため種類株式の第三者割当による資金調達を計画しております。本件は2023年12月22日に予定されている臨時株主総会の決議を経て正式に効力を生じることとなります。加えて、主に中期経営計画における成長分野への設備投資資金に充当するため普通株式の第三者割当による資金調達を実施いたしました。

当社及び当社の子会社であるUnited Chemi-Con, Inc.(以下「当社ら」といいます)は、電解コンデンサ及びフィルムコンデンサの取引に関して、米国で提起された集団民事訴訟のクラス原告(直接購入者型・間接購入者型)と和解しておりますが、別途、クラス原告(直接購入者型)に参加しない複数の原告(以下「個別原告」といいます)との間で民事訴訟が係属しておりました。

かかる個別原告のうち、Avnet, Inc. から損害賠償を求め提起されていた民事訴訟について、2023年6月、米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所において、当社らに対し150.677百万米ドルの支払を命じる判決が出され、当社らは当該判決を不服として、米国連邦第9巡回区控訴裁判所に控訴を提起しました。2023年7月、当社らは損害賠償等の責任を認めておりませんが、諸般の事情を総合的に勘案した結果、Avnet, Inc.及びその他3社との間で和解金総額125百万米ドルを支払うことに合意し、和解金を支払いました。

なお、当該和解金の支払に伴い、上記の判決に基づき当社らに生じていた150.677百万米ドルの支払義務及び当社らが負担すべきAvnet, Inc.の弁護士費用の支払義務はいずれも免除されました。

また、2023年9月、当社らは個別原告のうち和解が未了であったArrow Electronics, Inc.との間でも和解金総額75百万米ドルを支払うことに合意し、和解金を支払いました。

これにより、米国において当社らに提起されていた電解コンデンサ及びフィルムコンデンサに関する米国反トラスト法違反等について損害賠償等を求める民事訴訟は全て終結いたしました。

2024年3月期(2023年度)の通期連結業績予想につきましては、売上高1,530億円(前期比5.5%減)、営業利益100億円(前期比22.7%減)、経常利益90億円(前期比18.1%減)、親会社株主に帰属する当期純損失200億円(前期親会社株主に帰属する当期純利益22億73百万円)を見込んでおり、下半期の為替レートは1米ドル140円を前提としております。

2023年12月7日
代表取締役社長 上山 典男