株主・投資家情報経営方針

トップメッセージ

2021年3月期の概況

代表取締役社長 上山 典男

2021年3月期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により深刻な景気後退に陥りました。このような中、米国では感染症対策の緩和により経済活動の再開が進むにつれて、個人消費や設備投資が改善に向けた動きを示すなど景気は徐々に持ち直してまいりました。また、日本・欧州では感染症の再拡大に伴う経済活動の制限の影響により景気は総じて緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、感染症の影響からいち早く脱した中国では政府の景気刺激策の効果により設備投資が増加するなど景気は急速に回復いたしました。

日本ケミコングループを取り巻く市場環境につきましては、ICT関連市場ではリモートワークの普及、巣ごもり需要等によりノートPCや家庭用ゲーム機関連の需要が好調に推移したほか、5G通信基地局関連も総じて堅調に推移いたしました。一方、自動車関連市場、産業機器関連市場におきましては新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に需要が減少したものの、期後半は世界経済の持ち直しを受けて回復基調で推移いたしました。

このような経営環境のもと当社グループにおきましては、2020年4月よりスタートした第9次中期経営計画のもと商品企画改革と構造改革の二つの改革を断行してまいりました。

商品企画改革の本格的な効果の出現は2021年度以降となりますが、製品開発におきましては、高付加価値で高収益な製品の開発と拡販に注力いたしました。DC-DCコンバータやインバータ等の回路ユニットの小型化・長寿命化に貢献する導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ「HXFシリーズ」を新たに開発し、ハイブリッドタイプのラインアップを拡充しております。また、電気自動車やプラグインハイブリッド車に搭載するオンボードチャージャー(車載充電器)向けに従来品に比べて高容量・高信頼性のリード形アルミ電解コンデンサ「KXQシリーズ」を開発いたしました。

構造改革では、早期退職優遇制度による人員の適正化や国内の生産拠点の再編による業務の効率化に着手いたしました。また、アルミ電解コンデンサ用電極箔の自社生産と外部調達のバランスを適正化し既存設備の生産能力を最大限に活かす体制を構築すると共に、新規設備投資を抑制することによる資金効率の向上を図ってまいりました。

なお、2020年9月には財務体質の改善と今後の高収益製品への投資を目的に新株予約権の発行による資金調達を実施いたしました。

これらの結果、2021年3月期の連結業績につきましては、売上高は1,107億88百万円(前期比3.3%減)となり、営業利益は29億71百万円(前期営業損失28億91百万円)、経常利益は20億91百万円(前期経常損失42億45百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は20億38百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失59億26百万円)となりました。

当期の期末配当につきましては、誠に遺憾ながら見送らせていただきました。株主の皆様には深くお詫び申し上げる次第でございます。

部門別の状況

当期における事業の部門別の状況は次のとおりであります。

  1. コンデンサ部門(1,012億18百万円、売上総額の91.4%)
    車載・産業機器関連市場の需要が減少したことなどにより、当部門の売上高は前期比3.2%の減少となりました。
  2. 機構・その他部品部門(26億21百万円、売上総額の2.4%)
    CMOSカメラモジュールの売上が減少したことなどにより、当部門の売上高は前期比22.7%の減少となりました。
  3. コンデンサ用材料部門(49億3百万円、売上総額の4.4%)
    アルミ電解コンデンサ用電極箔の需要が増加したことなどにより、当部門の売上高は前期比10.3%の増加となりました。
  4. その他の部門(20億44百万円、売上総額の1.8%)
    リセール品の需要減少などにより、当部門の売上高は前期比6.2%の減少となりました。

2022年3月期の見通し

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくことで世界経済は回復基調で推移するものと見込まれます。一方で経済活動の停滞に伴う個人消費の落ち込みや、世界的な半導体の供給不足、米中貿易摩擦の再燃等の懸念材料を背景に、当社グループを取り巻く経営環境は依然として予断を許さない状況が続くものと予想されます。

このような経営環境のもと、当社グループは第9次中期経営計画の目標達成に向け、利益創出のための重点施策を着実に実行いたします。2021年度は引き続き商品企画改革と構造改革による成長戦略の明確化と収益体質の改善に取り組んでまいります。

商品企画改革におきましては、商品企画力を強化し、伸長が期待される市場への新製品の投入を加速し成果をあげてまいります。最重要戦略市場と位置付ける車載市場、ICT市場、産業機器市場に向けて導電性高分子タイプ、ハイブリッドタイプの生産能力増強と積極的な拡販活動を実施すると共に、企画立案から供給開始までの業務効率化を図り、新製品を早期に市場に供給する体制の整備を進めます。また、既存の製品から高付加価値・高収益の新製品への置き換えを進め、売上高に占める新商品の比率を高めることで収益性の改善に取り組んでまいります。加えて、地域別の販売戦略を強化し、販売地域や市場の偏りを緩和することにより地理的リスクへの対応力を高めてまいります。

構造改革におきましては、2020年度の一時的な効果ではなく、本質的な構造改革による成果をあげてまいります。製造工程においては、生産拠点のスマートファクトリー化を始めとする固定費の圧縮と生産性向上により高コスト体質からの脱却を着実に進めてまいります。2021年度は品質管理工程の一部を無人化し、人の判断・作業を可能な限り自動化することにより生産効率の向上と品質不良の発生防止を徹底いたします。また、サプライチェーンマネジメント改革にも注力いたします。箔の生産から販売拠点の倉庫までの製造と物流に要するリードタイムを短縮し、在庫を削減することにより資産効率の向上を図ってまいります。加えて、スタッフの業務を可視化し、非効率業務の削減と付加価値業務への集中を進めることでスタッフ部門の生産性を改善いたします。

なお、2022年3月期(2021年度)の連結業績予想につきましては、売上高1,220億円(前期比10.1%増)、営業利益62億円(前期比108.7%増)、経常利益54億円(前期比158.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益42億円(前期比106.0%増)を見込んでおり、為替レートは1米ドル105円を前提としております。

2021年6月
代表取締役社長 上山 典男