株主・投資家情報経営方針

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2022年3月期の概況

代表取締役社長 上山 典男

2022年3月期における世界経済は、米国では好調な個人消費と企業の設備投資による景気の持ち直しが続き、また中国経済は輸出が牽引役となって、引き続き堅調に推移いたしました。日本では、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体の供給不足等のマイナス要因があったものの、世界経済の正常化に向けた動きに伴い輸出が改善したことなどから景気は総じて回復基調となりました。

日本ケミコングループを取り巻く市場環境につきましては、車載関連市場は部品不足による自動車の減産の影響が見られたものの、新車需要の持ち直しなどにより総じて堅調に推移しました。産業機器関連市場は製造業を中心に設備投資需要が高まったことで国内市場、海外市場のいずれも好調となりました。

このような経営環境のもと当社グループにおきましては、第9次中期経営計画に基づき企業価値向上のための諸施策を着実に実行してまいりました。

構造改革では、生産拠点のスマートファクトリー化の一環として生産工程の一部自働化等を推し進め、設備稼働率の向上による増員・増備なき増産対応を実施してまいりました。また、原材料価格やエネルギー価格の上昇に対応するため、生産性の改善に加え製品の販売価格の是正にも努めてまいりました。

商品企画改革では、次世代を担う新たなシーズの創造と具現化を目指し、営業部門、開発部門の意識改革の推進や連携の強化を図りました。製品開発では、5G通信基地局などに向けて耐熱性に優れたリード形アルミ電解コンデンサ「GXMシリーズ」を開発したほか、クラウドやIoTの普及に伴って消費電力の増加が進むデータセンター向けには、リード形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ「PSGシリーズ」に高容量化アイテムを追加して製品体系の拡充を図りました。販売においては戦略市場に向けて、高付加価値品である導電性高分子タイプやハイブリッドタイプのアルミ電解コンデンサを重点的に拡販いたしました。

これらの結果、2022年3月期の連結業績につきましては、売上高は1,403億16百万円(前期比26.7%増)となり、営業利益は87億98百万円(前期比196.1%増)、経常利益は80億38百万円(前期比284.3%増)となりました。しかしながら、独占禁止法関連損失の計上等により親会社株主に帰属する当期純損失は121億24百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益20億38百万円)となりました。

このような状況を踏まえ、当期の期末配当につきましては、誠に遺憾ながら見送らせていただきました。株主の皆様には深くお詫び申し上げる次第でございます。

部門別の状況

2022年3月期における事業の部門別の状況は次のとおりであります。

  1. コンデンサ部門(1,281億97百万円、売上総額の91.3%)
    車載・産業機器関連市場の需要が増加したことなどにより、当部門の売上高は前期比26.7%の増加となりました。
  2. 機構・その他部品部門(31億89百万円、売上総額の2.3%)
    アモルファスチョークコイルの売上の増加などにより、当部門の売上高は前期比21.7%の増加となりました。
  3. コンデンサ用材料部門(67億49百万円、売上総額の4.8%)
    アルミ電解コンデンサ用電極箔の需要が増加したことなどにより、当部門の売上高は前期比37.6%の増加となりました。
  4. その他の部門(21億79百万円、売上総額の1.6%)
    リセール品の需要増加などにより、当部門の売上高は前期比6.6%の増加となりました。

2023年3月期の見通し

今後の見通しにつきましては、各国でのワクチン接種の進展等により新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らいでいくもとで、世界経済は先進国を中心に回復基調で推移することが期待されております。一方で、ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高止まりや新型コロナウイルスの新たな変異株による感染症の再拡大など、景気の下振れリスクも懸念されており、当社グループを取り巻く経営環境は依然として予断を許さない状況が続くものと予想されます。

当社グループにおきましては、第9次中期経営計画の最終年度を迎えるにあたり、経営目標の達成に向けた各種重点施策を着実に実行してまいります。

引き続き成長が見込まれる車載市場・ICT市場等の戦略市場に向けて高付加価値なアルミ電解コンデンサの拡販を進めると共に、電気二重層キャパシタを始めとする機能デバイスや、固体デバイスにおいては、潜在的な需要が見込まれる海外市場での売上拡大に向けた取り組みを強化してまいります。あわせて、2022年4月に発足した「新規事業推進室」を中心に、営業部門が収集した市場の潜在的なニーズとこれまでに蓄積した技術的な知見を組み合わせることで付加価値の高い新製品の企画・開発を一層加速してまいります。

構造改革では、スマートファクトリー化の次のステップとしてMES(製造実行システム)の導入を進めてまいります。製造工程で取得した情報を基に設備の稼働状態や生産計画を一元的に管理する仕組みを構築し、更なる生産性の向上を図ってまいります。

また、当社グループではサステナビリティへの取り組みを更に深化させるため、2022年2月にサステナビリティ基本方針を策定し、同年3月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同いたしました。今後は、企業理念である「環境と人にやさしい技術への貢献」のもと、気候変動への対応を始めとするさまざまな課題に取り組み、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。

なお、2023年3月期(2022年度)の連結業績予想につきましては、売上高1,550億円(前期比10.5%増)、営業利益93億円(前期比5.7%増)、経常利益82億円(前期比2.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益63億円(前期親会社株主に帰属する当期純損失121億24百万円)を見込んでおり、為替レートは1米ドル122円を前提としております。

2022年6月
代表取締役社長 上山 典男