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2026年3月期中間連結会計期間の概況

2026年3月期中間連結会計期間における世界経済は、米国では個人消費や設備投資が堅調に推移するなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、欧州経済は個人消費に持ち直しの動きが見られたものの、米国の関税政策の影響等により輸出が落ち込むなど、総じて低調に推移いたしました。また、中国では経済政策による内需の下支えはありましたが、対米輸出の減少や不動産市場の低迷等により、景気は減速傾向で推移いたしました。日本国内におきましても、景気は総じて緩やかな回復基調で推移したものの、企業の生産活動は自動車産業を中心に弱含みで推移いたしました。
日本ケミコングループを取り巻く市場環境につきましては、ICT関連市場は米国IT大手等によるデータセンターへの投資が継続し、生成AIサーバー及び周辺機器の需要が堅調に推移しました。一方、自動車関連市場はxEV化の増加やAD/ADAS(自動運転/先進運転支援システム)が伸展する中、米国の関税政策の動向等の影響から、需要の回復が鈍化し、低調に推移いたしました。また、産業機器関連市場は欧州の製造業を中心とした需要の低迷が続いたほか、中国経済の回復も力強さがなく、これらに加えて米国の関税政策が企業の設備投資の重石となるなど本格的な回復には至りませんでした。
このような経営環境のもと、当社グループは第10次中期経営計画に定める各種施策を着実に実行してまいりました。
販売面では、旺盛なデータセンター投資により今後も安定的な成長が見込まれるAIサーバーを含むサーバー需要向けの拡販に注力する一方、不採算品の生産を終息させることで収益性の改善に努めてまいりました。また、米国子会社であるUnited Chemi-Con, Inc.において新たな販売拠点の開設に向けた準備を進めるなど、成長が期待される海外市場への販売体制を強化してまいりました。生産面では、大形アルミ電解コンデンサやハイブリッドコンデンサの生産能力を増強し、安定的な供給体制を構築してまいりました。また、アセアンの生産拠点を活用した最適地生産体制を整備し、米国の関税政策への対応を図ってまいりました。
製品開発においては、従来品と比較して高容量化及び高リプル電流への対応を実現した導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ「HXGシリーズ」を開発し、車載機器など高機能化する各種機器に提案いたしました。更に、独自の加工プロセスにより透磁率特性を大幅に向上させ、産業機器や車載機器向けノイズフィルタの小型化を実現するコモンモードチョークコイル「FXシリーズ」や、次世代高速インターフェース「Automotive SerDes Alliance」に対応したカメラモジュール「MLシリーズ」など、新製品の開発を積極的に推進いたしました。
これらの結果、2026年3月期中間連結会計期間の連結業績につきましては、売上高は642億46百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益は9億56百万円(前年同期比48.3%減)、経常利益は7億79百万円(前年同期比161.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は2億69百万円(前年同期比244.9%増)となりました。
しかしながら、足もとの事業環境は厳しく、今後の市場動向を鑑みまして、2026年3月期の中間配当につきましては、誠に遺憾ながら見送らせていただくことといたしました。株主の皆様には深くお詫び申し上げます。
部門別の状況
2026年3月期中間連結会計期間における事業の部門別の状況は次のとおりであります。
- コンデンサ部門(592億16百万円、売上総額の92.2%)
データセンター向け需要が堅調に推移したことなどにより、当部門の売上高は前年同期比7.9%の増加となりました。 - 機構・その他部品部門(15億75百万円、売上総額の2.5%)
車載市場が低迷する中、車載カメラモジュール等の需要が減少したことなどにより、当部門の売上高は前年同期比8.0%の減少となりました。 - コンデンサ用材料部門(26億57百万円、売上総額の4.1%)
アルミ電解コンデンサ用電極箔の需要減少などにより、当部門の売上高は前年同期比3.4%の減少となりました。 - その他の部門(7億97百万円、売上総額の1.2%)
リセール品の需要増などにより、当部門の売上高は前年同期比44.2%の増加となりました。
通期の見通し
今後の見通しにつきましては、国内では物価上昇率の鈍化を受けて個人消費は底堅く推移するなど景気は緩やかな回復基調で推移することが見込まれるものの、世界経済全体では、米国の通商政策の動向や中東・ウクライナ情勢等の地政学リスクなど、当社グループを取り巻く経営環境は依然として予断を許さない状況が続くものと予想されます。
当社グループにおきましては、引き続き各種重点施策の実行を通じて企業価値の向上を図ってまいります。
販売面では、成長が期待されるICT市場、回復が期待される車載市場、産業機器市場に向けた販売を強化してまいります。また、データセンター向けの大形アルミ電解コンデンサやハイブリッドコンデンサ等の高付加価値な新製品の拡販に注力してまいります。加えて、インドに販売子会社であるChemi-Con Electronics (India) Private Limitedを設立し、成長が期待される海外市場向けの販売体制を強化してまいります。生産面では、引き続きスマートファクトリー構想を推進し、製造現場の自動化による労働生産性の向上に取り組んでまいります。また、製造工程の省人化に加え、スタッフ部門の業務効率化に対しても継続して取り組んでまいります。
2026年3月期(2025年度)の通期連結業績予想につきましては、売上高1,370億円(前期比11.7%増)、営業利益40億円(前期比6.9%増)、経常利益25億円(前期比59.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億円(前期親会社株主に帰属する当期純利益37百万円)を見込んでおり、下半期の為替レートは1米ドル145円を前提としております。
2025年12月5日
代表取締役社長 今野 健一
